わたしたちは数多くある楽器店の中でも音楽療法の実践におけるハープの普及を目的として様々な活動に取り組んでいます。ハープという楽器は、優しくやわらかな音色で聞く人を魅了し、人種・性別を問わず、幅広い世代に支持されています。かつては、絢爛豪華で高価な楽器であるという印象から敬遠されがちな楽器でしたが、近年では自己流でハープを演奏するなど、一般の愛好家も増加し、幅広い分野でハープが取り入れられる傾向にあります。音楽療法の世界においても、ハープを用いたセッション・臨床事例も学会などで報告されるようになり、ハープがより身近な楽器として周知されるようになってきました。
(株)グレースハープは、より多くの音楽療法士の方にハープの安全性・扱いやすさ・適合性をご理解いただき、多くの臨床現場で取り入れていただきたいと願っております。ハープを音楽療法実践に生かす試みは、これまでにないユニークな実証体験を生み出し、広大でアカデミックな視点で音楽療法に貢献できるのではないかと考えます。それは、音楽を必要とするクライアントと臨床的に関わる音楽療法士だからこそ実現でき、ハープでの体験や知識を共に伝え合い、情報を共有することが私たちの仕事であると考えます。
わたしたちは、クライアントにとって楽器の安全性を最重要視し、クライアントの操作性をより高めるために自らの目で見極め、触れ、音を出し、安全に使用できるように細心の注意を払っています。より多くの楽器が音楽療法において使用されることは楽器産業の活性化を生み出します。しかし、わたしたちが考える楽器製作・販売業者とは、音楽療法士が「楽器をクライアントといかに安全に使用できるか」という環境を提案し、提供するものであります。近年、わたしたちグレースハープでは、音楽療法士の意見を取り入れ、ハープの部位を改良し、1.弦が極端に細くない(触手感覚優先)2.弦の強度・適切なテンション3.チューニングピンの突起部分をなめらかに加工し、クライアントにとって関心・安全なハープを提供した、という実績があります。こうした楽器製作と音楽療法における可能性を最大限に活用することは、科学性と芸術性が協調する、いわば学際的協力のなせる技であり、より質の高い音楽療法を実践することへの支援につながっていくとわたしたちは考えるのです。これからもわたしたち楽器製作・販売業者と音楽療法士が連携し、より良い楽器の開発に取り組んでいきたいと思います。さらに、ハープの普及を目的とした様々な活動(演奏者育成・各種コンサートの企画など)、多岐分野に亘って実施してまいりたいと考えております。
音楽療法士は、「音楽家(Musician)」と「療法士(Therapist)」という2つのアイデンティティーを確立しています。 どちらかが突出していても「適性」ではなく、幅広い一般教養、音楽実技を含めた芸術性、またクライアントとの調和ができる臨床的専門スキルなどの要素をバランスよく兼ね備えていなければなりません。 薬に頼らない音楽処方において治療がなされることをベースに、音楽の力を使った音楽療法への取り組みは、近年、各分野で活躍する音楽療法士の目覚ましい努力によって実証されています。 しかしながら、一般的には、実態が掴みにくいのも事実です。 その理由として、音楽療法士のポジションの不確定さが挙げられます。 全国で会員数6000名、認定音楽療法士およそ1300名を誇る日本音楽療法学会は、音楽療法が職業として確立し、その分野の繁栄に力を注げるよう、音楽療法士の国家資格化に鋭意に取り組んでいます。 先進福祉国家イギリスを例に取ると、イギリスでは音楽療法士の資格は国の公認資格であり、医療専門職と同様に、国家登録職(State Registered Profession)となっています。 また音楽療法を職業とするセラピストを全面的にサポートする職業音楽療法士会(Association of Professional Music Therapists)が設置されています。既体制国の先行研究やその成果を踏まえ、一楽器店として取り組めることを真摯に考えてまいりたいと思います。
平成20年9月吉日
潟Oレースハープ・インターナショナル
代表取締役 二瓶佳子
|